株式会社日装(NISSO)

コラム

2026年9月30日

短時間の作業なのに、なぜ費用が高くなる?ビルメンテナンスの価格の考え方

短時間の作業なのに、なぜ費用が高くなるのか?―作業時間だけでは見えないコストと、私たちの改善

「朝の数時間だけの作業なのに3万円もかかるのですか?」

清掃や設備、修繕などの仕事をしていると、このようなご質問をいただくことがあります。

たしかに、実際に現場で作業している時間だけを見れば、「時給に換算するとかなり高いのでは?」と感じられることもあると思います。

しかし、現場作業の価格は、単純に「作業時間×人件費」だけで決まっているわけではありません。

今回は、短時間の作業でも一定の費用が必要になる理由と、できる限り適正な価格でサービスを提供するために、私たちが取り組んでいることをご紹介します。

現場にいる時間だけが「仕事」ではありません

例えば、3時間の作業を行う場合でも、その前には現地確認や見積作成、作業方法の検討、資機材の準備などが必要になります。

現地確認のために担当者が車で移動すれば、往復の移動時間やガソリン代も発生します。

調査に数時間かかる案件については調査費をお願いする場合もありますが、すべての現地調査について費用をいただけるわけではありません。また、現地調査を行ったからといって、必ず仕事をご発注いただけるとも限りません。

それでも、適切な作業内容や見積金額を出すためには、事前確認が必要になります。

さらに作業日が決まれば、使用する機材や資材、人員、車両などを準備します。

つまり、実際にお客様から見えている「現場での3時間」の前後にも、多くの時間と費用がかかっています。

予定していた仕事が突然できなくなることもあります

屋外作業では、天候も大きなリスクになります。

例えば草刈りや外部清掃などを予定していても、当日の大雨によって作業ができなくなることがあります。

その日の作業がなくなったからといって、必ず別の仕事を同じ時間に入れられるとは限りません。

人を雇用していれば、仕事がなくなったからといって人件費がゼロになるわけでもありません。

社会保険料などの会社負担もあります。

車両を使用する仕事であれば、ガソリン代だけではなく、車両購入費、保険、車検、整備費用なども必要です。当然ながら、交通事故や車両故障といったリスクもあります。

また、作業後に仕上がりに問題があれば、再度現場に伺って施工し直すこともあります。

反対に、お客様から「どうしても急いで対応してほしい」とご相談いただいた場合には、別の現場の日程を調整して対応することもあります。

このように考えると、現場作業の価格を単純な時給だけで比較することが、必ずしも実態に合っているとは言えません。

それでも、できるだけ適正な価格にする努力は必要です

もちろん、だからといって「費用が高くても仕方がない」ということではありません。

お客様からすれば、同じ品質であれば、できるだけ適正な価格で依頼したいと考えるのは当然です。

そのため、サービスを提供する側には、無駄を減らして生産性を高める努力が必要だと考えています。

その一つが、経験や技術を持った社員を育てることです。

経験のあるスタッフであれば、現場を見た際に必要な作業を早く判断できます。

「どこに時間をかけるべきか」「どのようなリスクがあるか」「どの機材を使用すれば効率的か」を理解しているため、同じ品質でも短い時間で作業できるようになります。

技術力を高めることは、品質向上だけでなく、結果としてコストを下げることにもつながります。

大きな設備投資だけでなく、小さな無駄をなくす

作業効率を上げるというと、高性能な清掃機械などへの設備投資をイメージするかもしれません。

もちろん機材への投資も重要ですが、実際の現場ではもっと小さな改善が大きな効果を生むことがあります。

例えば弊社では、複数の車両を使用して各現場を回っています。

以前、A車とB車には送風機が積んであるものの、C車には積んでいないということがありました。

C車で現場に行く場合には、別の車から送風機を積み替える必要があります。

さらに、その機材を戻し忘れると、今度は別のスタッフがB車を使った際に「必要な機材がない」ということが起きます。

一つ一つは数分、数十分程度のロスかもしれません。

しかし、こうしたことが年間何百回と発生すれば、大きなコストになります。

そこで現在は、使用頻度の高い必要最低限の機材については、できる限り各車両に常備するようにしています。

積み替えの時間を減らすだけでなく、資材や機材の積み忘れによる現場への往復を防ぐ効果もあります。

現場のコスト改善というと、大きな改革を考えがちですが、実際にはこのような小さな無駄が多くの現場に眠っています。

「誰が運転できるか」も作業効率に影響します

別の例として、弊社では以前マニュアル車のトラックを使用していました。

マニュアル車の場合、運転できるスタッフが限られてしまいます。

そのため、

「この仕事を担当できる人はいるが、トラックを運転できない」

といった理由から、シフトを変更しなければならないことがありました。

そこで、トラックをオートマ車に変更しました。

当然、新しい車両を導入するための費用はかかります。

しかし、現在の人材不足や今後の採用を考えた場合、マニュアル免許を持っている人だけを前提に人員配置を考え続けるよりも、より多くの社員が運転できる車両に変更した方が、長期的には効率が良いと判断しました。

設備投資についても、単純に「新しい機械を買えば効率が上がる」という話ではありません。

今どこに無駄が発生しているのかを確認し、その原因を一つずつ解消することが重要です。

営業エリアを絞ることも、コストを下げる方法の一つ

弊社では、対応エリアをある程度絞って事業を行っています。

これは単に近い場所だけで仕事をしたいからではありません。

移動距離が短くなれば、スタッフの移動時間、ガソリン代、車両負担を抑えることができます。

例えば、

現場まで片道1時間30分かかる仕事と、片道15分の仕事では、同じ2時間作業であっても会社側にかかるコストは大きく違います。

また弊社では、比較的日程を調整しやすい定期業務を複数管理しています。

仮にA現場の作業が天候などによって急きょ延期になった場合でも、別の日程調整が可能な現場にスタッフを配置できれば、「仕事がなくなってしまう時間」を減らすことができます。

こうした現場同士の組み合わせも、生産性を高めるためには重要です。

結果として、移動や待機などの無駄を減らすことができれば、その分、お客様にも競争力のある価格をご提示しやすくなります。

「作業時間」ではなく「サービス全体のコスト」を考える

短時間の作業の場合、

「3時間しか作業していないのだから、もっと安くできるのではないか」

と感じられることもあると思います。

私たちとしても、お客様のその感覚は非常によく理解できます。

一方で、サービスの価格には、現地調査、移動、準備、人材、車両、機材、保険、教育、天候によるキャンセルリスク、再施工への対応など、現場で作業している時間以外の多くの費用が含まれています。

だからこそ重要なのは、単に価格を上げることではなく、会社側がどれだけ無駄を減らせるかだと考えています。

社員の技術力を高める。

必要な機材を適切に配置する。

車両を使いやすくする。

営業エリアを集中させる。

現場同士を効率よく組み合わせる。

一つ一つは小さな改善ですが、その積み重ねによって生産性を高めることができます。

そして、その改善によって生まれた余力を、品質向上や価格競争力につなげていく。

私たちは、そうした積み重ねが、これからのビルメンテナンス会社にとってますます重要になると考えています。

 

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