ビルメンテナンスの仕事は季節によって変わる
弊社の場合、大まかには次のような傾向があります。
| 時期 | 増えやすい業務 | 発注時のポイント |
|---|---|---|
| 夏 | 草刈・剪定、学校関連業務、貯水槽関連など | 繁忙期のため早めの相談がおすすめ |
| 台風シーズン | 緊急対応、屋外作業の変更、施設確認 | 予定変更を想定した余裕が必要 |
| 年末 | 定期清掃・スポット清掃 | 清掃業務は早めの日程確保がおすすめ |
| 2月 | 定期業務 | 稼働日が少なく予定が埋まりやすい |
| 年度末 | 公共施設・入札関連業務 | 新年度に向けた対応が増加 |
| 1月・4月頃 | 比較的調整しやすい | 弊社ではスポット業務等を相談しやすい時期 |
もちろん、会社や業務内容によって繁忙期は異なります。
そのため、年間の建物管理計画を立てる際には、「毎年この時期に実施しているから」という理由だけで作業月を固定せず、業者と相談して実施時期を決めるのも一つの方法です。
夏は草刈・剪定などの屋外作業が増える
夏場は植物の成長が早いため、草刈・剪定の依頼が増えます。
駐車場や建物周辺の雑草、隣地まで伸びた枝、通行の妨げになっている植栽など、夏場は多くのお問い合わせをいただきます。
また、学校などの施設では夏休み期間を利用して、通常時には実施しにくい作業を行うケースもあります。
例えば、貯水槽関連業務など、施設の利用者が少ない期間だからこそ実施しやすい業務があります。
そのため、夏場は屋外作業だけでなく、施設管理業務全体として仕事量が増えやすくなります。
年末・年度末にもそれぞれ繁忙期がある
年末は、清掃関連の依頼が増える時期です。
特に大掃除に関連したスポット清掃などは、個人のお客様や小規模施設からのご相談も増える傾向があります。
一方、年度末になると、公共施設などの入札案件への対応や、新年度に向けた準備が増えてきます。
また、2月は28日(または29日)しかないため、毎月実施している定期業務だけでもスケジュールが埋まりやすくなります。
逆に弊社の場合、1月や4月頃は比較的日程を調整しやすい傾向があります。
必ずその時期が空いているというわけではありませんが、実施月を自由に設定できる作業については、ご相談いただく価値がある時期です。
業者の「空いている時期」を聞いてみる
建物管理の仕事には、必ず特定の月に実施しなければならないものと、ある程度実施時期を調整できるものがあります。
後者の場合には、
「この作業は何月頃なら対応しやすいですか?」
と業者に聞いてみることをおすすめします。
ビルメンテナンス会社によって、保有している人員や得意としている業務、契約している物件が異なるため、繁忙期もそれぞれ違います。
業者側に比較的余裕のある時期であれば、人員や日程を組みやすくなります。
また、繁忙期には外部の協力会社への応援依頼などが必要になる場合もあるため、作業時期を調整することで、場合によってはコスト面でメリットが生まれる可能性もあります。
年間の作業計画を立てる際には、発注者側だけで決めるのではなく、管理会社や作業会社と相談しながら決めることも大切です。
なぜ繁忙期だけ人を増やさないのか
これは建物管理会社側の事情になりますが、年間を通した人員配置には難しさがあります。
例えば弊社では、夏場になると草刈・剪定の仕事が大きく増えます。
夏の最大仕事量に合わせて人員を確保すれば繁忙期には対応しやすくなりますが、植物の成長が落ち着く冬場には、その人員の仕事が減ってしまいます。
そのため繁忙期には、外部の協力会社に応援をお願いすることもあります。
しかし、人件費だけでなく外注費も上昇しています。
そこで弊社では、夏の繁忙期に対応できる人員を、冬場には別の建物管理業務で活用するという体制づくりも進めています。
そのために重要になるのが「多能工化」です。
清掃も草刈もできる「多能工化」
弊社では、草刈・剪定と清掃を同じ部署で対応しています。
これには理由があります。
草刈・剪定だけしかできなければ、冬場には仕事量が減ってしまいます。
逆に清掃だけしかできなければ、定期清掃などの予定が少ない日に、他の業務へ人員を配置することが難しくなります。
もちろん、専門資格や高い技術が必要な業務については、専門の技術者が対応する必要があります。
その一方で、
清掃もできる。
草刈・剪定もできる。
簡単な建物管理業務にも対応できる。
こうした複数の業務に対応できる人材を増やすことで、季節による仕事量の変動に対応しやすくなります。
特に地域を絞って幅広い建物管理業務を行う中小規模のビルメンテナンス会社では、一定程度の多能工化が重要だと考えています。
働く側にとっても、一つの業務だけではなく、建物管理に関するさまざまな仕事や技術を経験できる環境につながります。
真夏の高所ロープ作業は「早朝」に行うことも
季節によって考えなければならないのは、仕事量だけではありません。
作業する時間帯も重要です。
特に高所ロープ作業では、夏の日射の影響を強く受けます。
真夏の日中に高所で長時間作業を続けることは、作業員の身体への負担が大きく、熱中症などのリスクも高まります。
そのため弊社では、お客様にご理解・許可をいただいたうえで、可能な現場についてはできる限り早朝から作業を開始し、気温が大きく上昇する前、昼前を目安に作業を終えるような工程を組むことがあります。
作業員の安全確保や身体的な負担の軽減につながるだけでなく、早く仕事を終えることで午後の時間を有効に使えるというメリットもあります。
季節に合わせて作業時間そのものを変えることも、安全な建物管理には必要だと考えています。
台風シーズンは「予定外の仕事」が発生する
年間計画を考えるうえで、もう一つ無視できないのが台風です。
台風が接近すると、予定していた屋外作業ができなくなることがあります。
それだけではありません。
弊社が管理している施設では、
- 営業施設の急なクローズへの対応
- 台風接近前の施設確認・対策
- 台風通過後の建物・設備の状況確認
- 倒木や飛散物などへの対応
といった、通常は予定されていなかった業務が発生することがあります。
台風の進路や被害を事前に正確に予測することはできません。
だからこそ、通常の予定を限界まで詰め込むのではなく、突発的な対応が発生することも想定して年間の仕事を組むことが重要になります。
「予定が全部埋まっている=効率が良い」ではない
会社経営の観点だけで考えれば、毎日の作業予定がすべて埋まっている方が効率的に見えます。
しかし、建物管理では必ずしもそうではありません。
仕事を限界まで詰めてしまえば、急な日程変更に対応できなくなります。
設備の故障や台風などによる緊急対応も難しくなります。
さらに繁忙期に無理な工程を組めば、作業員の疲労が蓄積し、怪我につながったり、一つひとつの作業を急ぐことで品質に影響したりする可能性もあります。
そのため弊社では、
「どれだけ予定を埋めるか」ではなく、「年間を通して安定した品質で仕事ができるか」
という視点も重要だと考えています。
建物管理は「年間」で考える
建物オーナー様や管理会社様、総務担当者様にとっても、建物管理を年間で考えることにはメリットがあります。
「そろそろ汚れてきたから清掃を頼もう」
「草が伸びてきたから草刈業者を探そう」
という都度の対応だけではなく、年間で必要になる業務をあらかじめ整理しておく。
そして、
「この作業はいつ実施するのが一番良いですか?」
と管理会社や作業会社と相談する。
そうすることで、繁忙期を避けて日程を確保できたり、作業会社側も十分な人員を準備できたり、場合によってはコストを抑えられたりする可能性があります。
弊社でも、清掃・設備管理・環境衛生管理・草刈剪定など、複数の建物管理業務を行っているからこそ、一つの作業だけではなく、年間を通した建物管理という視点からご提案することを大切にしています。
「何を依頼するか」だけでなく、「いつ依頼するか」まで考える。
建物を長く、安全に、適切なコストで維持していくために、年間の建物管理計画を一度見直してみてはいかがでしょうか。
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